内診が苦手な方、不安な方へ
2026.10.5その他
医学的な検査はどれも、多かれ少なかれ負担を伴うものですが、なかでも内診は、心理的にも身体的にも負担を感じやすい検査です(このコラムでいう内診には、腟鏡〈クスコ〉を使った診察、双手診、経腟超音波検査などを含みます)。
当院にも、これまで内診を受けたことがなく不安な方や、内診に抵抗がある、苦手だという方が多く通院されています。そう感じるのは、決して特別なことではありません。
一方で、現在の不妊治療では、子宮や卵巣の状態を確認するために内診が欠かせません。また、不妊治療は通院の回数が多く、ある程度の期間をかけて進めていく治療でもあります。
だからこそ当院では、できるだけ不安や痛みが少なく内診を受けていただけるよう、さまざまな工夫をしています。今回は、当院での取り組みと、ご自身でできるちょっとした工夫をご紹介します。
まずは見学から、少しずつ
初めての内診に不安を感じている方には、まず内診室の見学から始めていただいています。
クリニックの雰囲気に慣れる、内診室の様子に慣れる、担当する医師に慣れる――。患者様お一人おひとりのお気持ちに合わせて、こうしたステップを何度か繰り返すこともあります。
内診台に上がれるようになったら、実際に使う器具(クスコや超音波の器具)をお見せしてイメージを持っていただき、最初は外陰部に軽く当てるだけ、というところから始めることもあります。無理に進めることはありません。患者様のペースを大切にしながら、少しずつ進めていきます。
内診には必ず看護師が付き添います
当院では、内診の際には医師のほかに、必ず看護師が1名付き添います。内診が苦手な方には、さらにもう1名の看護師が付き添い、声をおかけしたり、手を握ったりできる体制も整えています。
内診や処置に付き添うスタッフを必ず看護師としているのは、看護師が「ケア」の専門家だからです。心身に負担のかかる不妊治療の診察や処置だからこそ、ケアの専門家が常にそばに寄り添うことに意味がある。私たちはそう考えています。
「何をされているかわからない」不安を減らすために
内診については、見えないところで何をされているのかわからず怖い、というお声もいただきます。
当院の内診台には目線をさえぎるカーテンを設置していますが、圧迫感がなく、できるだけ体に触れないよう、丈の短いものを特注しています。
また医師は、内診中も「これから〇〇をします」と、ひとつひとつ声をかけて説明しながら進めています。途中で痛みや不安を感じたときは、我慢なさらず、いつでもお声がけください。
負担の少ない器具を選んでいます
内診に使う器具も大切です。当院では、超音波の器具やクスコについて、できるだけ負担の少ない小さなサイズのものを選んで使用しています。
よろしければ、ご自身でできること
ここからは、もしよろしければご自身で試していただけることをご紹介します。どれも無理に行う必要はありませんので、取り入れやすいものがあれば参考にしてみてください。
からだのイメージをつかむ
内診が怖いと感じる理由のひとつに、外陰部や腟の形がイメージしにくく、何が起きるのかわからない、ということがあるようです。そのような場合、ご自身のからだを知ることが、不安を和らげる助けになることがあります。たとえば、鏡でご自身の外陰部を見てみる、指で外陰部から腟の入り口に触れて形を確かめてみる、といった方法です。
身体的な痛みが強い方は
気持ちの面だけでなく、身体的に痛みを感じやすい方もいらっしゃいます。そうした方は、性交時にも痛みや難しさを感じていることが少なくありません。
その場合は、ダイレーター(腟を少しずつ広げることに慣れていくための器具で、通信販売などで購入できます)を使い、ご自宅でゆっくり慣れていく方法もあります。使い方などでわからないことがあれば、診察の際にお気軽にご相談ください。
呼吸を意識する
内診中は、大きく息を吸って、ゆっくり長く吐くことを意識してみてください。緊張するとどうしても呼吸が浅く短くなりがちですが、ゆっくりとした呼吸は、からだの力を抜く助けになります。
最後に
初診のときには内診が怖くて受けられなかった方も、少しずつ慣れていかれ、治療を進めて妊娠され、当院を卒業されていく方がたくさんいらっしゃいます。
内診が不安なことは、恥ずかしいことでも、我慢しなければならないことでもありません。どうぞ初診の際に、お気軽にお伝えください。これからも当院では、皆様ができるだけ不安や痛みを感じることなく、安心して通院していただけるよう、取り組みを続けてまいります。
執筆・監修
オガタファミリークリニック 院長 緒方 誠司
- 医学博士(大阪大学)
- 日本産科婦人科学会専門医
- 日本生殖医学会認定生殖医療専門医
- 日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医
- 母体保護法指定医